離婚問題でお困りの方へ
離婚の際に取り決めるべき事項
1 離婚をすること自体
2 子の親権者
3 養育費
4 面会交流
5 財産分与
6 慰謝料
7 年金分割
1 離婚をすること
離婚をすること自体は当たり前のことと思われるかもしれませんが、相手がいることなので、裁判離婚以外に関しては、相手方との間で離婚をするということを合意できなければいけません。自分は離婚を固く決意しているので、離婚の条件を話し合いたいと考えていても、そもそも相手方が離婚自体を拒絶しているケースもあります。その場合には、まずは離婚をするということの基本的な合意が必要であると考えています。
条件次第では離婚するという場合もありますので、離婚の合意を形成できるかどうかは、次項以下について先行して協議するということもあります。
2 子の親権者
未成年者の親権者については、離婚の際に必ず取り決めなければいけない事項です。離婚届に全てのお子さん親権者を指定して記載しなければ、届出を受け付けてもらえません。
したがって、離婚をすることは決まっていても、親権者を父母のいずれかにするか合意できていない場合には、離婚届を提出できないということになります。
3 養育費
養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。子どもを監護している親は、他方の親から養育費を受け取ることができます。ほとんどのケースでは、親権者が子どもの監護をしていますので、親権者が非親権者(非監護親)に請求することになります。
養育費の金額は、原則として双方の収入によって計算されることになります。
「養育費 相場」などと検索エンジンで調べて、裁判所が公開している養育費算定表を見ている方も多い印象です。算定表を基準として、当事者の事情を考慮しつつ、具体的な金額を決めることになります。
養育費については、不払いが社会問題化していることもあり、インターネット上で様々な情報が掲載されており、不正確な情報も多いため、正確な情報を得る必要があります。
4 面会交流
面会交流とは、離婚後又は別居中に子どもを養育・監護していない方の親が子どもと面会等を行うことです。面会等とあるのは、直接の面会だけではなく、手紙のやり取りや電話といった方法も利用されるためです。
面会交流の具体的な内容や方法については、まずは父母が話し合って決めることになりますが、話合いがまとまらない場合や話し合いができない場合には、裁判所の手続を利用することになります。
子の年齢、性別、性格、生活環境などの子の福祉に配慮して取り決めることになります。面会交流に関しては、各当事者の事情によって、取り決めの内容は様々です。
5 財産分与
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して取得した財産を、分けることをいいます。離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求することになります。
子の親権者の指定とは異なり、離婚後に取り決めることも可能ですが、多くのケースでは離婚をする際に取り決めることになります。離婚後に財産分与を求める場合には、2年以内に財産分与を求める必要があります。
財産分与は、初めに財産分与の対象となる財産(共有財産)の範囲を確定し,その後,分与の方法を決めるという手順で進めることになります。財産分与の割合は、原則として2分の1ずつとなります。
共有財産の範囲について、夫婦間で認識が異なるということも多いので、2分の1ずつとすることを合意ができていても、金額で折り合わないということも生じてしまいます。
特に不動産がある場合には、継続居住の希望の有無、オーバーローンに関する清算、売却金額の設定等検討すべき事項が多くなります。
6 慰謝料
慰謝料とは,相手方の不法行為によって被った精神的苦痛を慰謝するための損害賠償であり,相手方の行為によって離婚せざるを得なくなったような相手方に離婚原因がある場合に請求することができます。代表的なものが相手方による不貞行為が挙げられます。
慰謝料については,不法行為に基づく損害賠償請求なので,離婚後に請求することも可能です。
不貞行為については,証拠の有無が結果を左右することになりますので,どのような証拠を集めるべきなのか,どういった方法で集めるべきなのかを弁護士に相談することが有益だと思います。
離婚原因が相手方にない場合(性格の不一致による離婚など)には,慰謝料は請求できません。
7 年金分割
年金分割とは、離婚をした場合に、当事者の一方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度の按分割合を決めるものです。
離婚後に取り決めることも可能ですが、離婚をしたときから2年以内に請求する必要があります。
当事者双方の合意が必要な合意分割と合意の必要のない3号分割があります。
分割するのは、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)であり、将来に実際に受け取る年金額を分けるというものではありません。婚姻前と離婚後の年金記録については、分割の対象外です。その婚姻期間のみに限定して、年金額を計算することはできなくもありませんが、年金受給時の金額と一致するわけではありませんので、参考にしかなりません。
また、厚生年金記録の分割ですので、自営業者で国民年金に加入している場合には、分割の対象になりません。
年金分割をする場合には、まずは、年金事務所に年金分割のための情報提供請求書を提出し、年金分割のための情報通知書を取得することになります。